2009年02月16日

「日本の医師は、まるで聖職者のような自己犠牲を払っている」

オバマ大統領から国務長官に任命されたヒラリークリントンさんが来日されますね。
ヒラリーさんは、大統領候補でしたが、そのとき、重要な政策として提案されていたのが、医療保険制度でした。この分野については、かなり研究されておられるようです。

ヒラリーさんが世界のhealthcare systemについての調査の一環で日本に来られたとき、おっしゃったコメントが、「医療崩壊」「医師不足」の日本の医師の間で広がっています。

Hillary Clinton said,
"The Japanese medical care system is maintained by the Saint-like self-sacrifice of medical workers."
(日本の医療制度は、医療従事者のまるで聖職者のような自己犠牲により維持されている)

http://www.min-iren.gr.jp/english/2007/20070104.html
(民医連のサイトです)

日本の医療制度が、そのサービスの質、アクセス性が非常に良いわりに、コストが安く運営されていることのカラクリについてのご意見でした。

医師というプロフェッションは、同じプロフェッションである聖職者と同等でよいのかもしれませんが、外国では、そういう医師はあまりいないのでしょうか。

実際、外来で、外国人の方を診察するときに、日本の医療制度や病院について、お尋ねしますと、発展途上国からの方はもちろんですが、先進国の方でも、「日本の医療制度と病院の仕組みは、とてもすばらしい。自分の国のものとは大変な違いがある」と、大絶賛されることが多いです。いつでも受診できて、ホンモノの医師に会えて、そして、コストも高くない。
もちろん、患者さんと言う立場から見てのご意見ですね。

逆に、欧米の医師に、日本の医師の診療業務従事状況をお話しすると、大体、「Crazy!」と吐き捨てるように言われることが多いですね。
たとえば、内科の外来なら、午前中に20人以上、多い医師なら40人以上診察していると言うと、アメリカの医師なら、大体、「我々は、午前中ならせいぜい10人、多くて15人だ、それ以上は物理的に不可能だ」との感想をいただきますね。北欧の医師なら、「午前中は5人ぐらい、大体、2ー3人じゃないか」とのコメントもあります。

日本の医療は、「3時間待って、3分診療」と批判されますが、医師のサイドから見て、たくさんの患者さんを診ている場合の肉体的、精神的な過労や医療安全についての配慮やリスクについて、非常に軽視されていると思います。患者さんを3時間待たせている間、医師は、医局のソファでのんびりとくつろいでいるのではありません。他の患者さんの診療行為をしているわけです。外国の医師の何倍もの責務をこなしているわけです。
医師からみても、このような状況が長続きしてよいはずはありません。

欧米の病院の待ち時間が短いとされるのは、予約日がいつになっているか、ということも計算に入れてのことではないです。コストの観点も入っていないです。
医師の診察予約は3ヶ月先まで入らない、しかも、数百ドル必要、なんてことなら、「3時間待ち」どころではないですよ。我が国では、たとえ、3時間待ってでも、その日のうちには、必ず、医師の診察を受けることができ、コストも均一化されているということです。

今、その制度が崩壊してきています。今後、どうなるのかなあ。

nakaikeiji at 12:30コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!
医療制度 | 医療崩壊

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