2008年09月04日

大分県立の看護大学で「高度実践看護師(Nurse Practitioner)」の養成が始まったそうです。

日本の医師法では、医師以外のものが医業をなすことは禁止されています。この法律のこの条文はかなり厳格に執行されていて、警察も「ニセ医者」の摘発には熱心です。

この法律の改正がないと、せっかくの「高度実践看護師」の資格も活かせません。大学院の修士課程とのことですが、この3名の方は、どんな経歴をお持ちの方でしょうか。もしかしたら、2年間では足りないかもしれません。医学科のカリキュラムを担当している者から考えると、4年制の看護学科の卒業者に、医師としての診断、診療能力をマスターしてもらうためには、2年間では厳しい。最低3年間と思います。

また、「高度実践」の資格を得るためには、普通の実践についてはほぼマスターしている方でないと、と、思います。もちろん、看護の実践です。これは、医学科も看護学科も、6年間や4年間の大学教育を終えただけでは、医師や看護師としての普通の実践がマスターできているか、と言われれば、ちょっと、難しいからです。「最低限のことはマスターしていると保証します」ということしか、言えない。残念ながら。
なので、この修士課程の入学資格については、他の通常の修士課程(大学卒業でよい)よりも、さらに限定した条件が必要だと感じます。

また、「診断」という言葉ですが、看護学の領域では、「看護診断」という表現で、医師の行う病名を中心とした診断とは違うものとされています。私の理解では、NPが行う「診断」は、医師が通常の診療で行う病名診断と同じ概念ととらえています。そうでないと、医師不足の社会問題の対応としての新しい専門職とは解離してしまうからです。もし、「看護診断」を主に行うのでは、羊頭狗肉かもしれません。
そこも、混同されないように注意が必要ですね。


以下は、毎日新聞の記事から


スーパー看護師:全国初、地域医療に 県議会一般質問、特区開設に前進 /大分

 ◇看護大育成のスーパー看護師

 初期診療や検査、薬の処方も担うスーパー看護師(ナースプラクティショナー=高度実践看護師)の育成が今春から、国内で初めて大分県立看護科学大で始まった。看護師3人が大学院修士課程として2年制で学んでいる。現行の医師法では看護師の医療行為は認められていない。せっかくの技術を生かすため、県議会で特区開設への提案があった。

 2日の県議会一般質問で玉田輝義議員(県民クラブ)が「特区制度で県内自治体病院に配置してはどうか」と提案。広瀬勝貞知事も「前向きに研究したい」と答えた。
 スーパー看護師は、米国では1960年代からの伝統があり、韓国などでも導入が進んでいるという。
 日本では活動が認められていないが、県内中山間地などで医師不足が目立ち、将来を見据えて同大学が修士課程を設けた。簡単な医療行為のほか、死亡診断書も書けるようになる。
 豊後大野市では、医師不足で県立三重病院を診療所化し、医療人材を公立おがた病院に集めることが決まっている。
 玉田議員は豊後大野市37・8%、国東市34・9%、杵築市30・8%とされる15年の県内高齢化率を挙げながら、「これだけ高くなると、活躍の余地は大きい。優秀な人材を(県外に)流出させないためにも、特区を前向きに考えてほしい」と要望した。
 広瀬知事も「医療関係者や県民の理解、医師との役割分担など課題もあるが、せっかくの大学の財産を生かしたい」と活用策を議論する方針を示した。

nakaikeiji at 21:35コメント(2)トラックバック(0) この記事をクリップ!
医療崩壊 | 医療制度

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コメント一覧

1. Posted by mikan   2008年09月05日 03:37
きっとどこぞの大国の真似というか、いいとこ取りをしたいのでしょうが…さすがに無茶な感じがします。特区の申請といっても、様々な議論をいきなり飛び越える感じがしてなりません。部分的には賛成ですが、今は導入の時期に適しているとは思えません。医師会だけでなく、薬剤師会からもいろいろと意見が出そうですね。
2. Posted by ぷーさん   2008年09月20日 17:36
この大学の先生にお尋ねした事がありますが、とりあえず、養成をはじめたものの、社会制度が変わらないと、活躍はできない状態、と、心配されていました。
医師不足に対して、限定的な条件のもとで、医師の責務の代行ができる職種を養成する対象の医療専門職としては、看護師(保健師、助産師)のほか、歯科医師、薬剤師、救急救命士、獣医師が想定されますね。

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