2009年11月21日
今日は、県内の高校から、医学科受験を考えているという高校生が医学部キャンパスに来てくれて、高大連携の授業を担当させてもらいました。
脳死や臓器移植に関する医療倫理について、一緒に考えるというグループ討論を行いましたが、高校生たち、さすがに医学科を考えているということもあるのか、とても熱心に意見を述べてくれ、また、互いに討論をしてくれました。
彼らがよい経験になれば、と思って、準備をしてきましたが、こちらも、よい経験をさせてもらったように思います。
やはり、相互関係ですよね。
このテーマは得意のネタですが、今回は、いつもの内容に加えて、脳死ドナーからの臓器摘出のプロセスについても紹介してみました。
臓器移植に同意し、脳死と確認されたあと、たくさんの移植チームが日本中から集まってくること
そのたくさんのチームは、臓器摘出が無事にできたら迅速に移植を受ける患者さんのもとに戻って行くこと
脳死となった患者さんには、臓器の機能を維持するための処置が施され、心臓の摘出を最後にすること
などなど
少し、頭でシミュレートするだけでも、脳死体からの臓器移植が、やはり、大変なことであること、高校生たちにもつたわったように思います。ただ、受験の偏差値だけで、医学部進学を考えて欲しくない。
やる気のある高校生たちだったので、受験のときには、ぜひ、うちの大学を受けてくれたらいいんですが。
もちろん、うちの大学をめざしてがんばっている高校生や受験生、日本中の高校生や受験生、目標突破、がんばってください。
脳死や臓器移植に関する医療倫理について、一緒に考えるというグループ討論を行いましたが、高校生たち、さすがに医学科を考えているということもあるのか、とても熱心に意見を述べてくれ、また、互いに討論をしてくれました。
彼らがよい経験になれば、と思って、準備をしてきましたが、こちらも、よい経験をさせてもらったように思います。
やはり、相互関係ですよね。
このテーマは得意のネタですが、今回は、いつもの内容に加えて、脳死ドナーからの臓器摘出のプロセスについても紹介してみました。
臓器移植に同意し、脳死と確認されたあと、たくさんの移植チームが日本中から集まってくること
そのたくさんのチームは、臓器摘出が無事にできたら迅速に移植を受ける患者さんのもとに戻って行くこと
脳死となった患者さんには、臓器の機能を維持するための処置が施され、心臓の摘出を最後にすること
などなど
少し、頭でシミュレートするだけでも、脳死体からの臓器移植が、やはり、大変なことであること、高校生たちにもつたわったように思います。ただ、受験の偏差値だけで、医学部進学を考えて欲しくない。
やる気のある高校生たちだったので、受験のときには、ぜひ、うちの大学を受けてくれたらいいんですが。
もちろん、うちの大学をめざしてがんばっている高校生や受験生、日本中の高校生や受験生、目標突破、がんばってください。
アメリカCNNのニュースですが、新型インフルエンザに感染した人の三分の一は発熱してない可能性があるとのことです。
世界中で、発熱した人の中から新型インフルエンザを探している、のが現状ですが、私も、38℃以上とされるインフルエンザの発熱ですが、実際、37℃台、それも37℃の前半の発熱(微熱と呼ぶ)の患者さんの中に、インフルエンザ簡易検査キットで陽性に出る方を何人も診ています。
CNNから。
The World Health Organization and U.S. Centers for Disease Control and Prevention each list fever as a defining feature of H1N1. But that's being called into question, most recently in the medical journal the Lancet. This week, physicians in Queensland, Australia, wrote that 36 of the 106 patients admitted to Gold Coast Hospital with confirmed H1N1 infections actually had no fever.
Dr. Richard Wenzel, an infectious disease specialist at Virginia Commonwealth University, visited hospitals in Mexico City in the spring when the virus first exploded onto the scene, and in Chile in July, during that country's outbreak. In both places, he says, the pattern was like Australia -- a third or more of adult H1N1 patients were afebrile, or without fever. "If the CDC doesn't recognize flu without fever, we're going to miss a huge number of cases," Wenzel says. "What it really means is we're going to have an incredibly difficult time controlling the virus."
In fact, the CDC does recognize flu without fever. Its guidelines on preventing the spread of H1N1 in hospitals dutifully report that "depending on the case series, the proportion of persons who have laboratory confirmed 2009 H1N1 infection and do not have fever can range from about 10 to 50 percent." But that warning isn't reflected in most of the agency's practical guidance, including when to keep children home from school or when parents should stay home from work or avoid public crowds. In those cases, flu is defined -- in part -- by having an elevated temperature.
世界中で、発熱した人の中から新型インフルエンザを探している、のが現状ですが、私も、38℃以上とされるインフルエンザの発熱ですが、実際、37℃台、それも37℃の前半の発熱(微熱と呼ぶ)の患者さんの中に、インフルエンザ簡易検査キットで陽性に出る方を何人も診ています。
CNNから。
The World Health Organization and U.S. Centers for Disease Control and Prevention each list fever as a defining feature of H1N1. But that's being called into question, most recently in the medical journal the Lancet. This week, physicians in Queensland, Australia, wrote that 36 of the 106 patients admitted to Gold Coast Hospital with confirmed H1N1 infections actually had no fever.
Dr. Richard Wenzel, an infectious disease specialist at Virginia Commonwealth University, visited hospitals in Mexico City in the spring when the virus first exploded onto the scene, and in Chile in July, during that country's outbreak. In both places, he says, the pattern was like Australia -- a third or more of adult H1N1 patients were afebrile, or without fever. "If the CDC doesn't recognize flu without fever, we're going to miss a huge number of cases," Wenzel says. "What it really means is we're going to have an incredibly difficult time controlling the virus."
In fact, the CDC does recognize flu without fever. Its guidelines on preventing the spread of H1N1 in hospitals dutifully report that "depending on the case series, the proportion of persons who have laboratory confirmed 2009 H1N1 infection and do not have fever can range from about 10 to 50 percent." But that warning isn't reflected in most of the agency's practical guidance, including when to keep children home from school or when parents should stay home from work or avoid public crowds. In those cases, flu is defined -- in part -- by having an elevated temperature.
2009年11月20日
医学教育カリキュラムの開発研究をしています。
コミュニケーション能力の開発、Evidence-based Medicineの教育、東洋医学の教育、医療倫理の教育など、いろいろ取り組んでいますが、自分自身も興味をもっているのが、コミュニケーション能力の開発や医療倫理の教育です。
先日、3年生を相手に、「悪い知らせ」を伝えること、というテーマで授業をしました。
このテーマの授業は、いろいろ準備をしながら、3年前から始めてみたのですが、今年は3年目ということもあり、ほぼ完成したと思います。
医師という仕事は、よい知らせを伝えることよりも、悪い知らせを伝えることの方が多いかもしれません。というか、よい知らせの伝え方には特に注意はいりません。
たとえば、「手術は無事に成功しました」「退院、おめでとうございます」「検査の結果は異常ありませんでした」「病理検査の結果、癌ではありませんでした」「無事に赤ちゃんが生まれました」などのメッセージを、患者さんにお伝えするのに、特に修飾も要りませんし、直裁的にストレートでよいと考えられるからです。
しかし、悪い知らせは、そうはいきません。
「診察の結果、詳しい検査をする必要があります」「検査の結果、癌であることが判明しました」「入院する必要がありますね」「手術では、病巣を取りきることができませんでした」「抗癌剤の治療後の確認の結果、癌細胞はほとんど減っていません」「赤ちゃんは仮死状態で生まれました」「手術をしなければなりませんが、手術により右眼の視力が永遠に失われると思われます」「言語障害が残ると思います」「有効な治療方法が確立していない疾患であることがわかりました」
そのような例は、いくらでも列挙することができます。
患者さんとコミュニケーションをとることの大事さ、そのときの伝え方には、様々な工夫があること、に気付いてもらって、悪い知らせを患者さんやそのご家族にきちんと伝えることも医師の大事な責務と思います。また、伝えること、だけでなくて、その後のケアやフォローがもっと大事なことと思います。彼らに、そのことを感じ取ってもらいたいと思っています。
講義のあと、「希望の持てない病状」に対して、「希望のもてる告知」をすること、について、学生たちの考えを答えてもらいました。いくつか、印象的なものを紹介します。
*最後まで生きなくてはいけない以上、自分であれば、希望を持たせて欲しいと思いますが、期待を持たせすぎるのはよくないので、「可能性がある」というような控えめな表現が好ましいとは思います。
*「希望のもてる告知」のあと、冷たい現実が事実となったとき、裏切られたような気持ちになるから、明らかな嘘はよくないと考える。
*患者さんに冷静に考えてもらいたいときに、情報そのものに、こちらの感情を交えると、不正確な情報となる危険がある。ただし、伝え方には温かさを持たせるなど、工夫が必要で、自分がやるとなると、とてつもなく難しいと思います。
いろいろと感じ取ってくれて、考えてくれたようです。
コミュニケーション能力の開発、Evidence-based Medicineの教育、東洋医学の教育、医療倫理の教育など、いろいろ取り組んでいますが、自分自身も興味をもっているのが、コミュニケーション能力の開発や医療倫理の教育です。
先日、3年生を相手に、「悪い知らせ」を伝えること、というテーマで授業をしました。
このテーマの授業は、いろいろ準備をしながら、3年前から始めてみたのですが、今年は3年目ということもあり、ほぼ完成したと思います。
医師という仕事は、よい知らせを伝えることよりも、悪い知らせを伝えることの方が多いかもしれません。というか、よい知らせの伝え方には特に注意はいりません。
たとえば、「手術は無事に成功しました」「退院、おめでとうございます」「検査の結果は異常ありませんでした」「病理検査の結果、癌ではありませんでした」「無事に赤ちゃんが生まれました」などのメッセージを、患者さんにお伝えするのに、特に修飾も要りませんし、直裁的にストレートでよいと考えられるからです。
しかし、悪い知らせは、そうはいきません。
「診察の結果、詳しい検査をする必要があります」「検査の結果、癌であることが判明しました」「入院する必要がありますね」「手術では、病巣を取りきることができませんでした」「抗癌剤の治療後の確認の結果、癌細胞はほとんど減っていません」「赤ちゃんは仮死状態で生まれました」「手術をしなければなりませんが、手術により右眼の視力が永遠に失われると思われます」「言語障害が残ると思います」「有効な治療方法が確立していない疾患であることがわかりました」
そのような例は、いくらでも列挙することができます。
患者さんとコミュニケーションをとることの大事さ、そのときの伝え方には、様々な工夫があること、に気付いてもらって、悪い知らせを患者さんやそのご家族にきちんと伝えることも医師の大事な責務と思います。また、伝えること、だけでなくて、その後のケアやフォローがもっと大事なことと思います。彼らに、そのことを感じ取ってもらいたいと思っています。
講義のあと、「希望の持てない病状」に対して、「希望のもてる告知」をすること、について、学生たちの考えを答えてもらいました。いくつか、印象的なものを紹介します。
*最後まで生きなくてはいけない以上、自分であれば、希望を持たせて欲しいと思いますが、期待を持たせすぎるのはよくないので、「可能性がある」というような控えめな表現が好ましいとは思います。
*「希望のもてる告知」のあと、冷たい現実が事実となったとき、裏切られたような気持ちになるから、明らかな嘘はよくないと考える。
*患者さんに冷静に考えてもらいたいときに、情報そのものに、こちらの感情を交えると、不正確な情報となる危険がある。ただし、伝え方には温かさを持たせるなど、工夫が必要で、自分がやるとなると、とてつもなく難しいと思います。
いろいろと感じ取ってくれて、考えてくれたようです。
早期の乳癌をスクリーニングする検査法として脚光をあびている、マンモグラフィー(乳腺X線)検査ですが、アメリカの研究グループは、40歳代の女性の場合、疑陽性も多く、リスクもあることから、ルーチンでの撮影には慎重であるべき、というガイドラインを作成したそうです。
なお、50歳以上74歳までの女性には、2年に一度のスクリーニング検査を推奨しています。75歳以上の女性についてはリスクと利益の関係は不明だとのことです。
ただ、この結果をそのまま、日本の状況を無視して、日本人にあてはめるのは乱暴かもしれません。
CNNから。
Task force opposes routine mammograms for women age 40-49
Women in their 40s should not get routine mammograms for early detection of breast cancer, according to updated guidelines set forth by the U.S. Preventive Services Task Force.
Before having a mammogram, women ages 40 to 49 should talk to their doctors about the risks and benefits of the test, and then decide if they want to be screened, according to the task force.
For women ages 50 to 74, it recommends routine mammography screenings every two years. Risks and benefits for women age 75 and above are unknown, it said.
なお、50歳以上74歳までの女性には、2年に一度のスクリーニング検査を推奨しています。75歳以上の女性についてはリスクと利益の関係は不明だとのことです。
ただ、この結果をそのまま、日本の状況を無視して、日本人にあてはめるのは乱暴かもしれません。
CNNから。
Task force opposes routine mammograms for women age 40-49
Women in their 40s should not get routine mammograms for early detection of breast cancer, according to updated guidelines set forth by the U.S. Preventive Services Task Force.
Before having a mammogram, women ages 40 to 49 should talk to their doctors about the risks and benefits of the test, and then decide if they want to be screened, according to the task force.
For women ages 50 to 74, it recommends routine mammography screenings every two years. Risks and benefits for women age 75 and above are unknown, it said.
2009年11月19日
先日、この大学の卒業生で、活躍されておられる先生をお招きして、学生たちに、自らの活動の内容を語っていただく企画を行いました。
4年生、3年生を中心に、200名近い医学生が講義室に集まってくれました。
医学部長や県医師会の会長も共催ということで来ていただいていました。
講師としてお呼びした先生方は、学生たちからは先輩にあたるドクターですが、アフリカなどの発展途上国の医療支援活動への協力を続けて来られた小児科の医師や、「国境なき医師団(MSF)」に熱心に関わっている医師など、ユニークな経歴を持った先輩たちがたくさんいるのです。
このような機会で、学生たちに自分たちの人生の目標を見つけてもらい、目標とする医師像なども見つかれば、と思いますし、今、自分たちが日々努力して行かねばならない医学学習のモチベーションの向上にもつながることだろうと考えています。
なかなか、回りくどい方法ではありますが、学生の学習意欲を高める方法として、直接的な方法で、有効な方法はないだろうと思います。鞭でたたけばよい、というような簡単なものではありませんから。
実は、どの先生も、既存の価値観にとらわれることなく、その小さな枠組みを超えて、行動をしてこられたような先生ばかりなので、講演を拝聴して、自分自身もとても興味深かったぐらいでした。
講師の先生がこんなことを、おっしゃっておられました。
「医師のキャリアアップというけど、キャリアなんてものは、自分で作るもので、何か用意されたコースを進めば自動的にできあがるようなものではないと思う」
なるほど。
よく、学生が、自分探し、なんて、言っているのですが、探しながら、自分から能動的に動いて行くことが大事なのだろうと思いました。
そうやって、やりたいこと、やりがいを感じることをやっていって、そして、振り返ってみると、自分が通過して来た道がキャリアになっている、そんな感じかもしれませんね。講師の先生方も、そうやって、一生懸命にがんばってきただけです。という感じでした。
こうやって考えてみると、医師というプロフェッションが活躍できる場所は、いっぱいあります。
日本だけでなくて、世界中にも。
今回の企画に参加した学生たちが、それぞれの個性を活かした、すばらしい人生を歩んでいくのを楽しみにしていたいと思っています。みんな、すばらしいポテンシャルを秘めてことを信じています。
4年生、3年生を中心に、200名近い医学生が講義室に集まってくれました。
医学部長や県医師会の会長も共催ということで来ていただいていました。
講師としてお呼びした先生方は、学生たちからは先輩にあたるドクターですが、アフリカなどの発展途上国の医療支援活動への協力を続けて来られた小児科の医師や、「国境なき医師団(MSF)」に熱心に関わっている医師など、ユニークな経歴を持った先輩たちがたくさんいるのです。
このような機会で、学生たちに自分たちの人生の目標を見つけてもらい、目標とする医師像なども見つかれば、と思いますし、今、自分たちが日々努力して行かねばならない医学学習のモチベーションの向上にもつながることだろうと考えています。
なかなか、回りくどい方法ではありますが、学生の学習意欲を高める方法として、直接的な方法で、有効な方法はないだろうと思います。鞭でたたけばよい、というような簡単なものではありませんから。
実は、どの先生も、既存の価値観にとらわれることなく、その小さな枠組みを超えて、行動をしてこられたような先生ばかりなので、講演を拝聴して、自分自身もとても興味深かったぐらいでした。
講師の先生がこんなことを、おっしゃっておられました。
「医師のキャリアアップというけど、キャリアなんてものは、自分で作るもので、何か用意されたコースを進めば自動的にできあがるようなものではないと思う」
なるほど。
よく、学生が、自分探し、なんて、言っているのですが、探しながら、自分から能動的に動いて行くことが大事なのだろうと思いました。
そうやって、やりたいこと、やりがいを感じることをやっていって、そして、振り返ってみると、自分が通過して来た道がキャリアになっている、そんな感じかもしれませんね。講師の先生方も、そうやって、一生懸命にがんばってきただけです。という感じでした。
こうやって考えてみると、医師というプロフェッションが活躍できる場所は、いっぱいあります。
日本だけでなくて、世界中にも。
今回の企画に参加した学生たちが、それぞれの個性を活かした、すばらしい人生を歩んでいくのを楽しみにしていたいと思っています。みんな、すばらしいポテンシャルを秘めてことを信じています。
2009年11月18日
先日、ある病院の救急外来で拝見した、80歳代のおばあさん。
娘さんが心配して連れて来られました。
「数日前から、なんだか元気がないので、心配で、今日は連れてきました」
とのこと。
こういう、特異的でない訴えの患者さんを好まない医師もいますが、私は、こういう患者さんの診療には大変興味があります。若い頃は苦手でした。たぶん、経験不足で、しかも、勉強不足だったから。
おばあさんは、車椅子にすわっておらました。いつもは、歩くことができるという。
でも、認知症があり、ということでした。すでに、外観から診察が始まっています。別に、貧血やチアノーゼはなさそうで、呼吸状態も安定しています。
どこか、体の調子が悪いところがありますか?
と、おばあさんの顔をみながら、声をかけてみました。
すると、本人は、
「ごはんが食べられません」
と、明確におっしゃる。
ほ〜、それほど認知症症状は進行してないのかな。これなら、大丈夫だな。と、認知症のレベルの判定を心の中で始めていたら、後ろに立っておられた娘さんが、半分笑いながら、
「先生、たぶん、全然、わかっていないと思います。何を聞かれても、ご飯を食べてない、って、答えるのです」
とのこと。はあ、そういうことか。では、本人からの情報収集はほとんど無理かも。
ならば、「なんだか元気がない」という訴えの鑑別診断は難しくなるなあ。と、思いながら、すぐに、次のことを娘さんに聞きました。
お母様は、もしかして、別の病院で、何か、お薬をもらっていませんか?たとえば、睡眠薬とか、精神安定剤とか?
「はい。アルツハイマー性の老人性認知症で、**病院の++先生から、お薬をいただいています。
たしか、精神安定剤もあったと思います。」
なるほど。では、すぐに、以下の質問を。
お薬の種類はわかりますか?なにか、処方の内容を書いた紙や、お薬を持って来ていただいていますか?
「すみません。持ってきませんでした。」
そうか。それは、残念だが、まだ、あきらめるのは早い。
お薬は、何種類ですか?
「2種類です。朝に1錠と、寝る前に1錠で、それぞれ、別の薬です。」
これで、だいたい、わかったぞ。朝の薬は、例の有名なアルツハイマーの特効薬とされる新薬で、寝る前の薬は、たぶん、睡眠導入剤か、精神安定剤だな。1錠だけなら、大した量ではないが、以下の質問をしました。
その薬は、誰が管理されていますか?お母様が飲むとき、何錠ずつ飲んでいるか、チェックはできていますか?
認知症の患者さんですから、お薬の服用量を間違えている可能性があり、そのために、活気がないのかもしれない。
そういう患者さんをたくさんみてきました。
「どこか、体の具合が悪いみたい、脳卒中かもしれません。」と、連れて来られたおじいさんやおばあさんが、実は、精神安定剤を、毎晩1錠なのに、毎食後1錠ずつ、計3錠飲んでいたとか。
娘さんがいいました。
「先生、母に薬は任せっきりで、飲んでいるところを確認したりはしていません。」
そうですか。しかたありませんね。でも、残薬の量をみれば、わかるのですが。
「では、すぐに、持ってきます。もしかしたら、お薬の飲み過ぎ、ということ、ありえるかもしれません。」
とのこと。よろしくお願いします。
身体診察に入りました。特に、異常所見がありません。神経学的にも、麻痺や知覚異常など、明らかなfocal signもみられず、脳卒中も否定的。内分泌疾患や、あるいは、うつ病の関係か、と、鑑別診断をはじめましたが、なんだか、気になるので、
すみませんが、どうも、頭の病気のようにも思いますので、念のため、頭部CT検査をすぐにさせてください。
すると、娘さんは、それが、受診の目的であったようで、
「ぜひ、お願いします!すぐに検査していただけますか?」
とのこと。解釈モデルをお尋ねすることは大事ですね。身体診察からは、特異的な神経症状もないので、こういう検査のオーダーは、研修医指導上もあまりおすすめできないし、たぶん、日本だけの特殊な状況かもしれません。アメリカでは、通常、できないでしょうね。お金持ちの患者さん以外は。
でもね。ここは、日本だから。
もしかして、お母様は、よく、転んだりしますか?と、念のための情報収集。
「いえ、あまり、転んだりすることはありません。」
とのこと。
もちろん、認知症の方の場合は、転倒エピソードの有無はあまり関係ないとされています。
しばらくして、CT検査室の技師さんから、電話。
「先生、さっきの緊急頭部CT検査の患者さんですが、慢性硬膜下血腫ですよ」
やっぱり。
頭部CT写真をみると、大脳半球が圧迫されている。まだ、ミッドラインの偏位はほとんどないが、病側の側脳室はほとんどみえないぐらいになっている。
認知症の患者さんの慢性硬膜下血腫を、素早く発見できたことに安堵。
この国の医療制度は本当によいなあ。
このおばあさんですが、認知症とのことで、元気がないとのことで、娘さんが連れて来られたのですが、きちんと奇麗にお化粧をしていました。アイラインまで。
お化粧は、どなたが?
「本人です。母は、病院に行くのでも、きちんとお化粧をしないと気がすまないのです」
女性の心理って、すごいですね。しかも、とてもお上手にお化粧できています。認知症があるとは思えない。ちょっと、アイラインやルージュの色がはっきりすぎるかもしれないけれども。
娘さんが心配して連れて来られました。
「数日前から、なんだか元気がないので、心配で、今日は連れてきました」
とのこと。
こういう、特異的でない訴えの患者さんを好まない医師もいますが、私は、こういう患者さんの診療には大変興味があります。若い頃は苦手でした。たぶん、経験不足で、しかも、勉強不足だったから。
おばあさんは、車椅子にすわっておらました。いつもは、歩くことができるという。
でも、認知症があり、ということでした。すでに、外観から診察が始まっています。別に、貧血やチアノーゼはなさそうで、呼吸状態も安定しています。
どこか、体の調子が悪いところがありますか?
と、おばあさんの顔をみながら、声をかけてみました。
すると、本人は、
「ごはんが食べられません」
と、明確におっしゃる。
ほ〜、それほど認知症症状は進行してないのかな。これなら、大丈夫だな。と、認知症のレベルの判定を心の中で始めていたら、後ろに立っておられた娘さんが、半分笑いながら、
「先生、たぶん、全然、わかっていないと思います。何を聞かれても、ご飯を食べてない、って、答えるのです」
とのこと。はあ、そういうことか。では、本人からの情報収集はほとんど無理かも。
ならば、「なんだか元気がない」という訴えの鑑別診断は難しくなるなあ。と、思いながら、すぐに、次のことを娘さんに聞きました。
お母様は、もしかして、別の病院で、何か、お薬をもらっていませんか?たとえば、睡眠薬とか、精神安定剤とか?
「はい。アルツハイマー性の老人性認知症で、**病院の++先生から、お薬をいただいています。
たしか、精神安定剤もあったと思います。」
なるほど。では、すぐに、以下の質問を。
お薬の種類はわかりますか?なにか、処方の内容を書いた紙や、お薬を持って来ていただいていますか?
「すみません。持ってきませんでした。」
そうか。それは、残念だが、まだ、あきらめるのは早い。
お薬は、何種類ですか?
「2種類です。朝に1錠と、寝る前に1錠で、それぞれ、別の薬です。」
これで、だいたい、わかったぞ。朝の薬は、例の有名なアルツハイマーの特効薬とされる新薬で、寝る前の薬は、たぶん、睡眠導入剤か、精神安定剤だな。1錠だけなら、大した量ではないが、以下の質問をしました。
その薬は、誰が管理されていますか?お母様が飲むとき、何錠ずつ飲んでいるか、チェックはできていますか?
認知症の患者さんですから、お薬の服用量を間違えている可能性があり、そのために、活気がないのかもしれない。
そういう患者さんをたくさんみてきました。
「どこか、体の具合が悪いみたい、脳卒中かもしれません。」と、連れて来られたおじいさんやおばあさんが、実は、精神安定剤を、毎晩1錠なのに、毎食後1錠ずつ、計3錠飲んでいたとか。
娘さんがいいました。
「先生、母に薬は任せっきりで、飲んでいるところを確認したりはしていません。」
そうですか。しかたありませんね。でも、残薬の量をみれば、わかるのですが。
「では、すぐに、持ってきます。もしかしたら、お薬の飲み過ぎ、ということ、ありえるかもしれません。」
とのこと。よろしくお願いします。
身体診察に入りました。特に、異常所見がありません。神経学的にも、麻痺や知覚異常など、明らかなfocal signもみられず、脳卒中も否定的。内分泌疾患や、あるいは、うつ病の関係か、と、鑑別診断をはじめましたが、なんだか、気になるので、
すみませんが、どうも、頭の病気のようにも思いますので、念のため、頭部CT検査をすぐにさせてください。
すると、娘さんは、それが、受診の目的であったようで、
「ぜひ、お願いします!すぐに検査していただけますか?」
とのこと。解釈モデルをお尋ねすることは大事ですね。身体診察からは、特異的な神経症状もないので、こういう検査のオーダーは、研修医指導上もあまりおすすめできないし、たぶん、日本だけの特殊な状況かもしれません。アメリカでは、通常、できないでしょうね。お金持ちの患者さん以外は。
でもね。ここは、日本だから。
もしかして、お母様は、よく、転んだりしますか?と、念のための情報収集。
「いえ、あまり、転んだりすることはありません。」
とのこと。
もちろん、認知症の方の場合は、転倒エピソードの有無はあまり関係ないとされています。
しばらくして、CT検査室の技師さんから、電話。
「先生、さっきの緊急頭部CT検査の患者さんですが、慢性硬膜下血腫ですよ」
やっぱり。
頭部CT写真をみると、大脳半球が圧迫されている。まだ、ミッドラインの偏位はほとんどないが、病側の側脳室はほとんどみえないぐらいになっている。
認知症の患者さんの慢性硬膜下血腫を、素早く発見できたことに安堵。
この国の医療制度は本当によいなあ。
このおばあさんですが、認知症とのことで、元気がないとのことで、娘さんが連れて来られたのですが、きちんと奇麗にお化粧をしていました。アイラインまで。
お化粧は、どなたが?
「本人です。母は、病院に行くのでも、きちんとお化粧をしないと気がすまないのです」
女性の心理って、すごいですね。しかも、とてもお上手にお化粧できています。認知症があるとは思えない。ちょっと、アイラインやルージュの色がはっきりすぎるかもしれないけれども。
川崎病の病態メカニズムがわかってきた、というニュースです。本当だとすれば、すごい発見です。
heat shock proteinが関わっているというのも興味深いです。
読売新聞から
川崎病、複数細菌原因か…抗菌薬で治療成功
乳幼児の原因不明の難病・川崎病が、体内で大量に増えた複数の細菌の感染によって引き起こされる可能性が高いことを、順天堂大のチームが突き止めた。
従来の治療法では効果のない患者の治療にも成功しており、英国免疫学会誌電子版で発表した。
研究チームの永田 智准教授らは、患者ののどや小腸に、毒性の弱いブドウ球菌や、ありふれたタイプの桿菌の仲間が、通常の10倍-100倍も存在することに気づき、詳しく調べた。
その結果、
〈1〉ブドウ球菌によって免疫反応が強まり、高熱や腫れの原因になる
〈2〉桿菌の仲間は血管内皮細胞にHSP60という特殊なたんぱく質を作らせ、これが免疫細胞の標的となり、冠動脈で過剰な免疫反応が起きる--ことを突き止めた。
炎症を抑える血液製剤を大量に投与しても効果がない患者7人に、ブドウ球菌や桿菌を抑えるST合剤という抗菌薬を投与したところ、6人が回復した。
研究チームの山城雄一郎・特任教授は「細菌の組み合わせによって症状が変わると考えられる。数滴の血液から細菌の種類を特定できるので、さらに多くの症例を調べれば治療法を確立できるだろう」と話している。
発見者の川崎富作・日本川崎病研究センター理事長の話「複数の細菌がかかわっているという考え方は非常に興味深い。後遺症が深刻な病気なので、早期治療が可能になることを期待したい」
◆川崎病=1967年に川崎富作博士が発見した。日本人や日系アメリカ人、韓国人などで4歳以下の子どもに多く、日本では年間約1万人が発症。高熱や目の充血、発疹、唇や口の中が腫れるなどの症状のほか、5-10%で心臓の冠動脈に動脈瘤ができたまま残り、心筋梗塞で亡くなることもある。
heat shock proteinが関わっているというのも興味深いです。
読売新聞から
川崎病、複数細菌原因か…抗菌薬で治療成功
乳幼児の原因不明の難病・川崎病が、体内で大量に増えた複数の細菌の感染によって引き起こされる可能性が高いことを、順天堂大のチームが突き止めた。
従来の治療法では効果のない患者の治療にも成功しており、英国免疫学会誌電子版で発表した。
研究チームの永田 智准教授らは、患者ののどや小腸に、毒性の弱いブドウ球菌や、ありふれたタイプの桿菌の仲間が、通常の10倍-100倍も存在することに気づき、詳しく調べた。
その結果、
〈1〉ブドウ球菌によって免疫反応が強まり、高熱や腫れの原因になる
〈2〉桿菌の仲間は血管内皮細胞にHSP60という特殊なたんぱく質を作らせ、これが免疫細胞の標的となり、冠動脈で過剰な免疫反応が起きる--ことを突き止めた。
炎症を抑える血液製剤を大量に投与しても効果がない患者7人に、ブドウ球菌や桿菌を抑えるST合剤という抗菌薬を投与したところ、6人が回復した。
研究チームの山城雄一郎・特任教授は「細菌の組み合わせによって症状が変わると考えられる。数滴の血液から細菌の種類を特定できるので、さらに多くの症例を調べれば治療法を確立できるだろう」と話している。
発見者の川崎富作・日本川崎病研究センター理事長の話「複数の細菌がかかわっているという考え方は非常に興味深い。後遺症が深刻な病気なので、早期治療が可能になることを期待したい」
◆川崎病=1967年に川崎富作博士が発見した。日本人や日系アメリカ人、韓国人などで4歳以下の子どもに多く、日本では年間約1万人が発症。高熱や目の充血、発疹、唇や口の中が腫れるなどの症状のほか、5-10%で心臓の冠動脈に動脈瘤ができたまま残り、心筋梗塞で亡くなることもある。
2009年11月17日
今日は、二つ隣の医学部からお声をかけていただき、うちの大学のチュートリアル教育やチームベースドラーニングを紹介してきました。
日本中の医学部がこれらの学生の学習意欲に依存した、新しい医学教育を導入していますが、大学によってかなり違いがあることに興味を持っています。
中には、「うちの大学のチュートリアル教育は崩壊しています。」
なんて、おっしゃる大学もあったりします。
各大学の事情があるのだろうなあ、と、思います。
教育の評価というものはとても難しいと思います。
今日も、こちらの大学で、教育熱心ないろんな先生がたとお会いする機会があり、私の方が刺激を受けました。
第一、50名を超える先生方が話を聴きに来て下さったそうです。ありがとうございました。
うちの大学で、同じような企画をして、50名の教員が集まるかどうか、自信がありません。
よい教育をしたいという、熱い情熱を感じました。
負けてはいられません。
日本中の医学部がこれらの学生の学習意欲に依存した、新しい医学教育を導入していますが、大学によってかなり違いがあることに興味を持っています。
中には、「うちの大学のチュートリアル教育は崩壊しています。」
なんて、おっしゃる大学もあったりします。
各大学の事情があるのだろうなあ、と、思います。
教育の評価というものはとても難しいと思います。
今日も、こちらの大学で、教育熱心ないろんな先生がたとお会いする機会があり、私の方が刺激を受けました。
第一、50名を超える先生方が話を聴きに来て下さったそうです。ありがとうございました。
うちの大学で、同じような企画をして、50名の教員が集まるかどうか、自信がありません。
よい教育をしたいという、熱い情熱を感じました。
負けてはいられません。

