2009年11月11日
今週は、先週までのわき上がるような、インフルエンザ患者さんの波は小さく感じます。最初のピークは去ったのでしょうか。
でも、こんな患者さんを診ることがおきてきました。
1 タミフルを内服し続けて来たのに、発熱に全く改善なく、両側の非定型肺炎を起こし方
2 簡易検査で、即座にA型が陽性になったが、そのあと、B型も陽性反応が検出された方
3 37度台程度の発熱であるのに、A型が陽性になる方
なかなか、この感染症は、一筋縄では行きませんね。
なお、ちなみに、3のようなケースは、患者さんの訴えや咽頭粘膜の所見から、この方は熱が高くないが、インフルエンザに違いない、と、確信した場合です。これだけ、インフルエンザの方を診ているとね。
1の方は、別の病院でしたが、先日、入院していただき、リレンザに切り替えましたが、ちょっと、今後の展開が心配です。
日本の製薬会社が、静脈内投与型の抗インフルエンザ薬を開発中です。入院するような重症の方には、これが、早く使えるようになるといいかなと期待しています。
2の方についてですが、今年の季節性インフルエンザは、B型もあるのかしら。季節型インフルエンザが広がって来ているのかもしれないと注意しています。
新型インフルエンザ、弱毒型で本当によかった。
これが、想定されていた、強毒型だったら、今頃、社会はどうなっていたでしょうか。
でも、こんな患者さんを診ることがおきてきました。
1 タミフルを内服し続けて来たのに、発熱に全く改善なく、両側の非定型肺炎を起こし方
2 簡易検査で、即座にA型が陽性になったが、そのあと、B型も陽性反応が検出された方
3 37度台程度の発熱であるのに、A型が陽性になる方
なかなか、この感染症は、一筋縄では行きませんね。
なお、ちなみに、3のようなケースは、患者さんの訴えや咽頭粘膜の所見から、この方は熱が高くないが、インフルエンザに違いない、と、確信した場合です。これだけ、インフルエンザの方を診ているとね。
1の方は、別の病院でしたが、先日、入院していただき、リレンザに切り替えましたが、ちょっと、今後の展開が心配です。
日本の製薬会社が、静脈内投与型の抗インフルエンザ薬を開発中です。入院するような重症の方には、これが、早く使えるようになるといいかなと期待しています。
2の方についてですが、今年の季節性インフルエンザは、B型もあるのかしら。季節型インフルエンザが広がって来ているのかもしれないと注意しています。
新型インフルエンザ、弱毒型で本当によかった。
これが、想定されていた、強毒型だったら、今頃、社会はどうなっていたでしょうか。
昨日は、東大へ出張してきました。
韓国は今年から医師国家試験に技能試験(OSCE)を導入したのですが、それを視察してこられた先生がたの報告会が開催されたからです。
同様のことは、アメリカのUSMLEに導入され、カナダでも実施されています。アメリカの医師免許の試験は、国家試験ではありませんが。
実は、わが国の医師法を読みますと、医師国家試験のところでは、「知識と技能について」評価すると規定されていますが、今のところ、評価の方法としては、ペーパーテストだけで実施されています。もちろん、方法がペーパーテストということだけであり、「知識と技能」について評価しているのは間違いありません。実際に出題されている問題をみれば、わかります。
しかし、より妥当性の高い方法がないか、ということが求められているのです。わが国でも、1990年代から、医師国家試験への臨床技能試験の導入が検討されていますが、何千人単位での医師国家試験、究極の総括評価の試験と思いますが、これについて、技能試験を導入するのは、いろんな問題点が提起され、なかなか、踏み切れないでいる間に、韓国が先に実施ししてしまったという感じといえます。
カナダでは、ビデオ録画をするということで、信頼性の確保をしていますが、アメリカのUSMLE STEP2のCSでは、OSCEを行っていますが、評価者は、医師ではなくて、1ステーションあたり、模擬患者(SP)の方1名で評価をするなど、結構、割り切った運用で実施されています。
韓国の方式は、視察をしてこられた先生方の感想によれば、アメリカの方式に似た形で行われており、医療技術に関する評価は医師が行い、医療面接に関する評価は、SP1名で行っているそうです。また、ビデオ録画が行われているそうです。
びっくりしたのは、試験箇所が固定されており、一日に最大72名しか受験できないため、51日間ぐらいにわたって実施されているということでした。韓国の医学生は、1学年あたり国全体で3500名ぐらいだそうです。ということで、72人かける51日間ということになっているのでしょう。
報告会では、熱心な質疑がおこなれました。
確かに、なるほど、と、思ったのは、
「学生の臨床実習は、主に、入院患者の診療の担当が中心だと思いますが、医療面接ステーションなどで出される課題が、内科外来診療的なテーマが多いので、その解離を、学生たちは、どのように対応しているのでしょう?」
というものでした。日本での現状にもあてはまるかもしれません。
いろいろ、考えさせられる報告会でした。大変、勉強になりました。
韓国は今年から医師国家試験に技能試験(OSCE)を導入したのですが、それを視察してこられた先生がたの報告会が開催されたからです。
同様のことは、アメリカのUSMLEに導入され、カナダでも実施されています。アメリカの医師免許の試験は、国家試験ではありませんが。
実は、わが国の医師法を読みますと、医師国家試験のところでは、「知識と技能について」評価すると規定されていますが、今のところ、評価の方法としては、ペーパーテストだけで実施されています。もちろん、方法がペーパーテストということだけであり、「知識と技能」について評価しているのは間違いありません。実際に出題されている問題をみれば、わかります。
しかし、より妥当性の高い方法がないか、ということが求められているのです。わが国でも、1990年代から、医師国家試験への臨床技能試験の導入が検討されていますが、何千人単位での医師国家試験、究極の総括評価の試験と思いますが、これについて、技能試験を導入するのは、いろんな問題点が提起され、なかなか、踏み切れないでいる間に、韓国が先に実施ししてしまったという感じといえます。
カナダでは、ビデオ録画をするということで、信頼性の確保をしていますが、アメリカのUSMLE STEP2のCSでは、OSCEを行っていますが、評価者は、医師ではなくて、1ステーションあたり、模擬患者(SP)の方1名で評価をするなど、結構、割り切った運用で実施されています。
韓国の方式は、視察をしてこられた先生方の感想によれば、アメリカの方式に似た形で行われており、医療技術に関する評価は医師が行い、医療面接に関する評価は、SP1名で行っているそうです。また、ビデオ録画が行われているそうです。
びっくりしたのは、試験箇所が固定されており、一日に最大72名しか受験できないため、51日間ぐらいにわたって実施されているということでした。韓国の医学生は、1学年あたり国全体で3500名ぐらいだそうです。ということで、72人かける51日間ということになっているのでしょう。
報告会では、熱心な質疑がおこなれました。
確かに、なるほど、と、思ったのは、
「学生の臨床実習は、主に、入院患者の診療の担当が中心だと思いますが、医療面接ステーションなどで出される課題が、内科外来診療的なテーマが多いので、その解離を、学生たちは、どのように対応しているのでしょう?」
というものでした。日本での現状にもあてはまるかもしれません。
いろいろ、考えさせられる報告会でした。大変、勉強になりました。
2009年11月10日
ずっと、この仕事をしてきて、医学生の学習意欲について解明することに興味をもっています。
最近、いろいろ、わかってきました。見えてきたので、このブログでも少しずつ紹介をしています。
医学部に入学して、教養課程から、専門教育が始まってくる、というのが、一般的な医学カリキュラムだと思いますが、そのあたりの2−3年生が、こんなことを言ってくれることがあります。
「先生、今、微生物学や薬理学と、基礎医学の教育が続いていますが、正直、学習意欲が低下しています。というか、辟易しています。というのは、毎日、先生たちが講義で話していることや、分厚い教科書に書かれていることが、実際の診療や患者さんにおいて、どのぐらい必要なことなのか、何が関連しているのか、そこのところがつながらないからだと思います。」
こういうことを言ってくれる学生さんがいます。
そして、このような建設的な意見も言ってくれる場合もあります。
「先生、いっそのこと、教科書の最初から勉強するのではなくて、実際の診療から学ぶ、というのはどうでしょうか?」
このことは、世界的にも指摘されて来ていて、PBL教育やEarly Exposureはその流れの中から編み出されてきた教育カリキュラムだと思います。
しかし。
これは、あてはまる場合と、あてはまらない場合があります。
1つには、実際の診療から学ぶ、というのは、実は、簡単ではありません。
注意深い観察力やコミュニケーション能力が必須だからです。残念なことなのですが、大学入試の難関を乗り越えて来てくれた医学生の多くが、この能力が十分に開発されて来ていません。もちろん、入学当初から、あるいは、入試の面接のときから、その凄い能力をみせつけてくれる、とても頼もしい医学生も実在しますが、多数ではありません。本当に残念なことです。
それに、コミュニケーション能力と簡単にいいますが、とても多面的な複合的な能力なのです。ただ、ニコニコと、元気に積極的に話しかけて行く、ということだけではないのです。患者さんがおっしゃる言葉、態度、それに、指導してくれる医師たちの専門用語、解剖や病態生理の知識、基本的な知識で良いのですが、それがないと、医学生として、臨床の現場で学ぶことができるようなコミュニケーション能力がある、とは言えないのです。つまり、医学生は簡単に養成できません。
そして、実は、もっと、大事なことが隠れていたことに気付きました。
それは、
「基礎医学から学べと言われても、臨床とつながっていないから、意欲がわきません」と、主張する学生の中に、PBL教育に入ると、こんなことを言う学生がいるからです。
「どうして、アスピリンを投与した課題症例の勉強で、シクロオキシゲナーゼのことを調べなければならないのですか?」
同一の学生だったりします。最初は、あれ、と、こちらもびっくりしました。だって、臨床から学びたいと言っていた、熱心な学生だと思っていたからです。でも、違うんですね。
薬理学でシクロオキシゲナーゼを学びたがらず、そして、臨床課題から学ぶPBLでもシクロオキシゲナーゼのことを学ぼうとしない。だったら、いつ、学ぶのかな。
つまり、結局のところ、勉強する意欲がない、ということを言っていることに気付きました。
どうしてかな、と、ずっと、考えて、教育学の本などを読みあさってきましたが、数年前から、気付きました。
医学生の中に、勉強することの目的が、医学の学問の外にある学生がいるからなのです。
「今、自分が勉強するのは、あとで、その知識が役に立つから」
と、信念を持って努力をしているからなのです。
実際、医学という学問は、そういうことを背景に発達してきました。
病苦に悩む患者さんを助けたい、社会の危機を救いたい、と。
だから、そういう医学生の存在自体、当然なのかもしれませんが、私は、この姿勢、態度が進むと、医学という学問を軽んずることになり、そして、その原点にある、患者さんや生命という尊い存在すら軽視する、という態度につながると、このように考えています。
今の若い先生たち、研修医の先生の中に、そういう方、実在しています。本当に、残念なことだなあって、思います。
学問を学ぶ目的は、何でしょうか。
最近、いろいろ、わかってきました。見えてきたので、このブログでも少しずつ紹介をしています。
医学部に入学して、教養課程から、専門教育が始まってくる、というのが、一般的な医学カリキュラムだと思いますが、そのあたりの2−3年生が、こんなことを言ってくれることがあります。
「先生、今、微生物学や薬理学と、基礎医学の教育が続いていますが、正直、学習意欲が低下しています。というか、辟易しています。というのは、毎日、先生たちが講義で話していることや、分厚い教科書に書かれていることが、実際の診療や患者さんにおいて、どのぐらい必要なことなのか、何が関連しているのか、そこのところがつながらないからだと思います。」
こういうことを言ってくれる学生さんがいます。
そして、このような建設的な意見も言ってくれる場合もあります。
「先生、いっそのこと、教科書の最初から勉強するのではなくて、実際の診療から学ぶ、というのはどうでしょうか?」
このことは、世界的にも指摘されて来ていて、PBL教育やEarly Exposureはその流れの中から編み出されてきた教育カリキュラムだと思います。
しかし。
これは、あてはまる場合と、あてはまらない場合があります。
1つには、実際の診療から学ぶ、というのは、実は、簡単ではありません。
注意深い観察力やコミュニケーション能力が必須だからです。残念なことなのですが、大学入試の難関を乗り越えて来てくれた医学生の多くが、この能力が十分に開発されて来ていません。もちろん、入学当初から、あるいは、入試の面接のときから、その凄い能力をみせつけてくれる、とても頼もしい医学生も実在しますが、多数ではありません。本当に残念なことです。
それに、コミュニケーション能力と簡単にいいますが、とても多面的な複合的な能力なのです。ただ、ニコニコと、元気に積極的に話しかけて行く、ということだけではないのです。患者さんがおっしゃる言葉、態度、それに、指導してくれる医師たちの専門用語、解剖や病態生理の知識、基本的な知識で良いのですが、それがないと、医学生として、臨床の現場で学ぶことができるようなコミュニケーション能力がある、とは言えないのです。つまり、医学生は簡単に養成できません。
そして、実は、もっと、大事なことが隠れていたことに気付きました。
それは、
「基礎医学から学べと言われても、臨床とつながっていないから、意欲がわきません」と、主張する学生の中に、PBL教育に入ると、こんなことを言う学生がいるからです。
「どうして、アスピリンを投与した課題症例の勉強で、シクロオキシゲナーゼのことを調べなければならないのですか?」
同一の学生だったりします。最初は、あれ、と、こちらもびっくりしました。だって、臨床から学びたいと言っていた、熱心な学生だと思っていたからです。でも、違うんですね。
薬理学でシクロオキシゲナーゼを学びたがらず、そして、臨床課題から学ぶPBLでもシクロオキシゲナーゼのことを学ぼうとしない。だったら、いつ、学ぶのかな。
つまり、結局のところ、勉強する意欲がない、ということを言っていることに気付きました。
どうしてかな、と、ずっと、考えて、教育学の本などを読みあさってきましたが、数年前から、気付きました。
医学生の中に、勉強することの目的が、医学の学問の外にある学生がいるからなのです。
「今、自分が勉強するのは、あとで、その知識が役に立つから」
と、信念を持って努力をしているからなのです。
実際、医学という学問は、そういうことを背景に発達してきました。
病苦に悩む患者さんを助けたい、社会の危機を救いたい、と。
だから、そういう医学生の存在自体、当然なのかもしれませんが、私は、この姿勢、態度が進むと、医学という学問を軽んずることになり、そして、その原点にある、患者さんや生命という尊い存在すら軽視する、という態度につながると、このように考えています。
今の若い先生たち、研修医の先生の中に、そういう方、実在しています。本当に、残念なことだなあって、思います。
学問を学ぶ目的は、何でしょうか。
2009年11月09日
たくさんある医薬品を勉強するのは大変な作業です。
医学をまなび始めた医学生にとって、それは、苦痛かもしれません。
うちの3年生たち、PBL-tutorial教育のカリキュラムは、「心臓」ユニットが終わり、「血液・免疫」ユニットに進みました。
最初の課題症例は、汎血球減少症の患者さんで、検査の結果は、再生不良性貧血と診断されたという症例をもとに再構成されたものです。
この病気は、まだ、原因が明確になっていませんが、自己免疫疾患の病態メカニズムが関与していると言われています。それは、患者さんに免疫抑制剤を投与すると、状態が改善するケースが多いからです。もちろん、造血幹細胞に異常があるケースもあります。
治療経過のところで、サイクロフォスファマイドなどの免疫抑制剤が投与されたと記載がありました。
学生たちが、どのぐらい、この記載について追究しているかと思いましたので、グループの討論の時間に、学生たちに聞いてみました。
「このサイクロフォスファマイドという医薬品の薬理作用を、誰か、調べて来ていますか?」
ある学生が、こう返事してくれました。
「免疫抑制剤で、Tリンパ球の機能を抑制するそうです」
なるほど。ちゃんとしらべてきているようです。でも、説明してくれたレベルでは、足りないので、さらに、質問を重ねてみました。
「なるほど、調べて来ていますね。ありがとう。ところで、どうして、この薬は、Tリンパ球の機能を抑制することができるのですか?」
すると、その学生は、
「すみません。そこまで調べていません」
う〜ん。残念。もちろん、他の学生も。
薬の作用を調べる方法はいろいろありますが、どこまで調べるか、というのが難しいのかもしれません。一般向けだと「免疫を抑制する薬」というレベルでよいとは思います。しかし、医学生ではそれは足りません。
なぜなら、この薬は、免疫抑制剤として利用されており、また、そのように本にも書かれていますが、もともとは、抗癌剤であり、アルキル化剤と呼ばれる、強力な細胞増殖阻害作用を持っている医薬品だからです。細胞のDNAの構造を壊してしまう、という強い薬理作用を持っています。「免疫を抑制する」というような緩い表現では、この医薬品の持つ本来の薬理作用を理解しているとはいえないのです。
なぜ、Tリンパ球の機能を阻害するのか、それは、遺伝子DNAの構造を壊すことにより、リンパ球を死滅させるから、と、このように理解しておかねばなりません。
免疫抑制剤として利用されている医薬品の中には、このように、本来、細胞増殖を阻害する、抗癌剤として開発され、実際にがん患者さんにも投与されている薬が少なくありません。
医学生は、そのことを知らねばなりません。
もちろん、免疫抑制剤は免疫を抑制する、というのでは、薬理作用を知っているとは言えませんし。
しっかりと、化学的なレベルまで、薬理作用を押さえておいて欲しいと思っています。
医学をまなび始めた医学生にとって、それは、苦痛かもしれません。
うちの3年生たち、PBL-tutorial教育のカリキュラムは、「心臓」ユニットが終わり、「血液・免疫」ユニットに進みました。
最初の課題症例は、汎血球減少症の患者さんで、検査の結果は、再生不良性貧血と診断されたという症例をもとに再構成されたものです。
この病気は、まだ、原因が明確になっていませんが、自己免疫疾患の病態メカニズムが関与していると言われています。それは、患者さんに免疫抑制剤を投与すると、状態が改善するケースが多いからです。もちろん、造血幹細胞に異常があるケースもあります。
治療経過のところで、サイクロフォスファマイドなどの免疫抑制剤が投与されたと記載がありました。
学生たちが、どのぐらい、この記載について追究しているかと思いましたので、グループの討論の時間に、学生たちに聞いてみました。
「このサイクロフォスファマイドという医薬品の薬理作用を、誰か、調べて来ていますか?」
ある学生が、こう返事してくれました。
「免疫抑制剤で、Tリンパ球の機能を抑制するそうです」
なるほど。ちゃんとしらべてきているようです。でも、説明してくれたレベルでは、足りないので、さらに、質問を重ねてみました。
「なるほど、調べて来ていますね。ありがとう。ところで、どうして、この薬は、Tリンパ球の機能を抑制することができるのですか?」
すると、その学生は、
「すみません。そこまで調べていません」
う〜ん。残念。もちろん、他の学生も。
薬の作用を調べる方法はいろいろありますが、どこまで調べるか、というのが難しいのかもしれません。一般向けだと「免疫を抑制する薬」というレベルでよいとは思います。しかし、医学生ではそれは足りません。
なぜなら、この薬は、免疫抑制剤として利用されており、また、そのように本にも書かれていますが、もともとは、抗癌剤であり、アルキル化剤と呼ばれる、強力な細胞増殖阻害作用を持っている医薬品だからです。細胞のDNAの構造を壊してしまう、という強い薬理作用を持っています。「免疫を抑制する」というような緩い表現では、この医薬品の持つ本来の薬理作用を理解しているとはいえないのです。
なぜ、Tリンパ球の機能を阻害するのか、それは、遺伝子DNAの構造を壊すことにより、リンパ球を死滅させるから、と、このように理解しておかねばなりません。
免疫抑制剤として利用されている医薬品の中には、このように、本来、細胞増殖を阻害する、抗癌剤として開発され、実際にがん患者さんにも投与されている薬が少なくありません。
医学生は、そのことを知らねばなりません。
もちろん、免疫抑制剤は免疫を抑制する、というのでは、薬理作用を知っているとは言えませんし。
しっかりと、化学的なレベルまで、薬理作用を押さえておいて欲しいと思っています。
タバコ税の増税案が議論されていますね。
私は愛煙家ではありませんが、医師として、議論の行方を気にしています。
肺癌の方をたくさんみてきました。何人も看取りました。進行癌の主治医はつらいです。もちろん、ご本人やご家族はもっともっと大変です。当然です。でも、それを感じるから、一層、こちらもつらくなります。
もう、自宅へ退院はできそうもない、肺癌の末期の方に、
「タバコをやめましょう」と言っている、熱心な看護師さんもいましたが、そのときは、いつも、「診断されたときから、わかっているけれど、やめらないそうですよ」と、杓子定規な対応はやめましょうと、言ったこともあります。
なかなか、大変なものです。
今、いくつかの病院で、肺気腫の方もみていますし、また、喉頭癌で喉頭全摘を受けた方の血圧などのフォローをしている方もいます。
でも、タバコをやめられない方って、いるんですね。
急性心筋梗塞で、死線をさまよった方、やっぱり、吸い続けていたりしています。
たぶん、担当医(私)が、禁煙への取り組みが上手くないのだと反省し、いろいろ勉強もしていますが、責任転嫁するつもりはないのですが、今、喫煙を楽しんでおられる方の多くは、「選りすぐりの」愛煙家が多いと思います。
前に心筋梗塞の患者さんを搬送したときに出会った、循環器の先生は、
「タバコを吸っている?なら、自業自得だね。」
と、はっきりと患者さんに言った光景をよく覚えています。もちろん、助けてあげますよ、という強い自信から来る言葉だと思います。この言葉がきっかけになって、禁煙した方は多いでしょうね。要は信頼関係があるかどうかだろうと思います。
さて、タバコの値段を倍にするぐらいに課税を強化する、という件が、公になってからは、外来では、タバコをやめられないかたに、
「鳩山首相は、タバコの値段を倍にすることを検討しているそうですよ。どうしますか?」
って、聞くようにしました。
答えは。
「値段が倍になったって、タバコはやめられないよ」
と言う方が、9割。1割ぐらいは、
「じゃあ、半分にしようかね」
と、消極的な節煙の感想。
タスポが導入されたときも、みなさん、タスポは作らなかったという方が多かったけれども、禁煙したのではなくて、
「不便になったが、コンビニで売っているし」という感じで、胸ポケットからタバコの箱が消える方はほとんどいなかったし。
やっぱり、本人がタバコをやめる、と、思わないと、このようなことはうまくいかない、というのをたくさん経験しています。信頼関係が構築できていない場合、喫煙の継続について、患者さんとケンカすることになって、「もう、病院になんか、来るもんか!」となると、大失敗です。
とは、いうものの、
「先生は、いつも、タバコのことを聞くね」
と、糖尿病や高血圧で愛煙家の患者さんたちから、煙たがられたりしています。
私は愛煙家ではありませんが、医師として、議論の行方を気にしています。
肺癌の方をたくさんみてきました。何人も看取りました。進行癌の主治医はつらいです。もちろん、ご本人やご家族はもっともっと大変です。当然です。でも、それを感じるから、一層、こちらもつらくなります。
もう、自宅へ退院はできそうもない、肺癌の末期の方に、
「タバコをやめましょう」と言っている、熱心な看護師さんもいましたが、そのときは、いつも、「診断されたときから、わかっているけれど、やめらないそうですよ」と、杓子定規な対応はやめましょうと、言ったこともあります。
なかなか、大変なものです。
今、いくつかの病院で、肺気腫の方もみていますし、また、喉頭癌で喉頭全摘を受けた方の血圧などのフォローをしている方もいます。
でも、タバコをやめられない方って、いるんですね。
急性心筋梗塞で、死線をさまよった方、やっぱり、吸い続けていたりしています。
たぶん、担当医(私)が、禁煙への取り組みが上手くないのだと反省し、いろいろ勉強もしていますが、責任転嫁するつもりはないのですが、今、喫煙を楽しんでおられる方の多くは、「選りすぐりの」愛煙家が多いと思います。
前に心筋梗塞の患者さんを搬送したときに出会った、循環器の先生は、
「タバコを吸っている?なら、自業自得だね。」
と、はっきりと患者さんに言った光景をよく覚えています。もちろん、助けてあげますよ、という強い自信から来る言葉だと思います。この言葉がきっかけになって、禁煙した方は多いでしょうね。要は信頼関係があるかどうかだろうと思います。
さて、タバコの値段を倍にするぐらいに課税を強化する、という件が、公になってからは、外来では、タバコをやめられないかたに、
「鳩山首相は、タバコの値段を倍にすることを検討しているそうですよ。どうしますか?」
って、聞くようにしました。
答えは。
「値段が倍になったって、タバコはやめられないよ」
と言う方が、9割。1割ぐらいは、
「じゃあ、半分にしようかね」
と、消極的な節煙の感想。
タスポが導入されたときも、みなさん、タスポは作らなかったという方が多かったけれども、禁煙したのではなくて、
「不便になったが、コンビニで売っているし」という感じで、胸ポケットからタバコの箱が消える方はほとんどいなかったし。
やっぱり、本人がタバコをやめる、と、思わないと、このようなことはうまくいかない、というのをたくさん経験しています。信頼関係が構築できていない場合、喫煙の継続について、患者さんとケンカすることになって、「もう、病院になんか、来るもんか!」となると、大失敗です。
とは、いうものの、
「先生は、いつも、タバコのことを聞くね」
と、糖尿病や高血圧で愛煙家の患者さんたちから、煙たがられたりしています。
大変な苦労を重ねておられるようですが、オバマ大統領の、この政策に対する熱意は変わらないように、太平洋の反対側から感じています。「歴史的」だそうです。
もちろん、政治ですから、いろいろ、妥協をしているのだろうとは思います。でも、こういうのは、熱意がないと動かないと思います。
いろいろ、大変なことが起きていますが、とりあえず、オバマ大統領、おめでとうございます。
今度は、上院ですね。
来日されますね。おつかれさまです。
CNNから
Obama: Health care baton now passes to Senate
President Obama on Sunday praised the "historic" House vote to pass a bill overhauling the nation's ailing health care system, and said now it is time for the Senate to "take the baton" and complete its work.
The House passed its health care bill late Saturday night by a 220-215 vote, with 39 Democrats in opposition and one Republican supporting it. Senate approval is considered less certain due to opposition by all Republicans and some moderate Democrats.
もちろん、政治ですから、いろいろ、妥協をしているのだろうとは思います。でも、こういうのは、熱意がないと動かないと思います。
いろいろ、大変なことが起きていますが、とりあえず、オバマ大統領、おめでとうございます。
今度は、上院ですね。
来日されますね。おつかれさまです。
CNNから
Obama: Health care baton now passes to Senate
President Obama on Sunday praised the "historic" House vote to pass a bill overhauling the nation's ailing health care system, and said now it is time for the Senate to "take the baton" and complete its work.
The House passed its health care bill late Saturday night by a 220-215 vote, with 39 Democrats in opposition and one Republican supporting it. Senate approval is considered less certain due to opposition by all Republicans and some moderate Democrats.
2009年11月07日
先日行われた、3年生たちのチュートリアル教育のテスト採点をしています。
先天性心疾患の中には、血管拡張剤を投与すると、動脈の酸素分圧が低下したり、脳へのダメージがあることがあります。
そのことに関する出題がありました。
「なぜ、ファロー四徴症の患者には、血管拡張剤の投与が避けられるのか、その理由を説明しなさい」
うちのチュートリアル教育のテストでの定番の、病態メカニズムの理解を測定するための問題ですね。
もちろん、正解をバシッと書いてくれるのがいいのですが、別にパーフェクトである必要はありません。
要は、考え方であり、論理的な思考力を測定しようとしているものです。
学生さんの中には、このような問題を苦手としている方もあるようですが、そういう方は、模範解答をしりたがるのですが、丸暗記しようと考えるみたいです。
でも、それは違います。もともと、病態メカニズムについての理解を測定しようとしているものですし、論理的思考力をみたいと思っているのですから。
そういう方の中には、さらに、過去問の模範解答を丸暗記することが、テスト勉強だと考えている、本当に単純にそう思っているようです。
それでは、クリアできないようなカリキュラムになればと考えています。
さて、問題への学生たちの答えですが、素晴らしい解答がある中、こんな解答も。
「血管拡張剤を投与すると、末梢の血管が拡張し、」
おお、いいねえ、正解っぽいぞ。
「末梢の血流が低下するので、」うん?おかしいぞ。
他には、
「末梢の血管が拡張すると、心臓に負担がかかり、」
うーん。
続きを読む
先天性心疾患の中には、血管拡張剤を投与すると、動脈の酸素分圧が低下したり、脳へのダメージがあることがあります。
そのことに関する出題がありました。
「なぜ、ファロー四徴症の患者には、血管拡張剤の投与が避けられるのか、その理由を説明しなさい」
うちのチュートリアル教育のテストでの定番の、病態メカニズムの理解を測定するための問題ですね。
もちろん、正解をバシッと書いてくれるのがいいのですが、別にパーフェクトである必要はありません。
要は、考え方であり、論理的な思考力を測定しようとしているものです。
学生さんの中には、このような問題を苦手としている方もあるようですが、そういう方は、模範解答をしりたがるのですが、丸暗記しようと考えるみたいです。
でも、それは違います。もともと、病態メカニズムについての理解を測定しようとしているものですし、論理的思考力をみたいと思っているのですから。
そういう方の中には、さらに、過去問の模範解答を丸暗記することが、テスト勉強だと考えている、本当に単純にそう思っているようです。
それでは、クリアできないようなカリキュラムになればと考えています。
さて、問題への学生たちの答えですが、素晴らしい解答がある中、こんな解答も。
「血管拡張剤を投与すると、末梢の血管が拡張し、」
おお、いいねえ、正解っぽいぞ。
「末梢の血流が低下するので、」うん?おかしいぞ。
他には、
「末梢の血管が拡張すると、心臓に負担がかかり、」
うーん。
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2009年11月06日
9月から、チュートリアル教育に進んだ3年生たちの感想や自己評価を聞いています。
もちろん、教育担当の教員の質問ですから、彼らも、答えには気をつけているかとは思うので、割り引いてくださいね(笑)
でも、ほんの数ヶ月前の自分との違いは、彼ら自身が一番わかっているはずです。
こんな答えもありました。
「勉強が楽しいです。」「討論の時間が面白いです。」
いいねえ。
「自分で勉強するので、大変だけど、興味深いです。」
自己主導型学習ですから、楽しくないはずがありませんよね。
うちの学生たち、本当に優秀だなあ。
もちろん、高いレベルまで、学習成果を達成してのことだけれど。
受験生のみなさん、全ての医学部が同じだと思ったら、間違いですよ。
入学してからでは、遅い。
もちろん、教育担当の教員の質問ですから、彼らも、答えには気をつけているかとは思うので、割り引いてくださいね(笑)
でも、ほんの数ヶ月前の自分との違いは、彼ら自身が一番わかっているはずです。
こんな答えもありました。
「勉強が楽しいです。」「討論の時間が面白いです。」
いいねえ。
「自分で勉強するので、大変だけど、興味深いです。」
自己主導型学習ですから、楽しくないはずがありませんよね。
うちの学生たち、本当に優秀だなあ。
もちろん、高いレベルまで、学習成果を達成してのことだけれど。
受験生のみなさん、全ての医学部が同じだと思ったら、間違いですよ。
入学してからでは、遅い。

